ダウン症や自閉症の子どもたちの絵の教室 「atelier A」 主宰 赤萩洋子さん

ママリブインタビュー:ママ紹介

ダウン症や自閉症の子どもたちの絵の教室 「atelier A」 主宰 赤萩洋子さん
1976年、東京生まれ。大学卒業後、アパレルメーカーに入社。夫・赤荻徹さんの影響で、福祉施設でのボランティアを経験。その後、ヘルパー2級の資格を取得し、知的障がい者の学童クラブに勤務。

2003年より、夫と共に自宅にてダウン症や自閉症の子どもたちの絵の教室「atelier A」を始める。出産を機に仕事を辞め、子育てと教室に専念。現在は、月1回、渋谷の公共施設を借り、参加メンバーである子どもたち約50人と友人・知人によるスタッフとで教室を開催。5歳の女の子、3歳と2歳の男の子のママとして充実した毎日を過ごしている。

9/14?9/19にNOW IDeA by UTRECHT(東京・南青山)、9/23?9/26にNO.12 GALLERY(東京・代々木上原)にて展覧会を開催予定。
詳細はHPまで→http://atelier-a.petit.cc/
NOW IDeA by UTRECHT http://www.nowidea.info/
NO.12 GALLERY http://no12gallery.com/

インタビュー特集

誰かの役に立ちたいというのではなく、 ただ子どもたちと過ごす世界に魅了された

ママリブインタビュー 赤荻洋子さんが福祉の仕事に興味を持ったのは、学生時代から親交のあった今のご主人・赤荻徹さんの存在が深く関係している。  徹さんのご両親はどちらも教師、しかもお母さんが養護学校の先生だったこともあり、大学で教育関連の勉強をしていたが、映画の世界へ進むことに。その間ずっと、仕事とは違う形で何かを始めたいと思っていたそうだ。そんなときに洋子さんが、母親からダウン症の子どもたちでやっているサッカーチームがコーチを探していると聞き、それをきっかけに徹さんは「エイブルFC」というサッカーチームのコーチをするようになった。

「サッカーの練習を見に行くようになり、そこで初めてダウン症の子どもたちと触れ合いました。今まで感じたことのないパワーや熱意を受けとったんです。次第にアパレルの会社で働きながらも、子どもたちのことがどうも気になり始めて...(笑)」

 サッカーの練習だけでは物足りなくなった洋子さんは、いろんな養護施設に飛び込みで行ってボランティアとして手伝い始めた。アパレル関係の仕事とは、あまりにも違う環境だったし、これまでの人生で考えたことのない世界があったという。
「誰かの役に立ちたいという思いとは違い、子どもたちと過ごす、いろんな世界をもっと体験したい。思いきり笑ったり、本気でひとりの子どものことを考えたりできることが素晴らしいと思ったんです。これを仕事にするためにはどうしたらいいかを考えて、ヘルパーの資格を取り、障がいを持つ子のための学童クラブで働き始めました」

小学生が泊まりにきたことをきっかけに 自宅で絵の教室を始める

サッカーの練習に通うようになってちょうど1年ほど経った頃、チームに所属しているひとりの小学生のダウン症の男の子が、徹さんと洋子さんが暮らす家に泊まりにくることがあった。
「その男の子はとにかく元気いっぱい。私にぴったりとくっついてニコニコ笑ってくれたのがすごく嬉しかった。彼も楽しかったのか、食事もいっぱい食べるし、絵も描いて、歌も歌って...。とっても楽しかった分だけ、1日でくたくたになったことを覚えています」

 子どもを家に泊めるのも長時間預かるのも初めてだったという洋子さん。ご両親のことを考えると、1日くらいで大変だなんて言ってはいられないと実感したと同時に、小学生の友達が自分たちの家に泊まりに来るという関係が、普通では築けないことでもあり、そういう関係をいいなと感じたという。
「その子と過ごしていろいろ刺激を受けたことが面白かったし、嬉しく感じていました。その後、そのお子さんのお母さんと話をしたときに、それまでは絵を描かなかったけれど、家に泊まりに来てからは絵を描くようになったことを知りました。そして絵を描く場所があったらいいなというお母さん声を聞いて、絵の教室をしましょうかと提案したんです」
 そこから、赤荻家のリビングでサッカーチームのお子さん3人が集って、「atelier A」が始まった。2005年には初めての展覧会を開催。それを見に来たサッカーのメンバーたちが「アトリエにも来たい!」と言い始めたことから、渋谷区の施設を借りて月に1回開催するという今のカタチになった。

絵の上手下手は関係ない、 誰でもいつでも気軽に来られる場所として

絵を描くことは誰でもできるし、自由に表現することもできる。「atelier A」では自己表現の身近な手段のひとつとして絵を捉えている。教室を続けていると、絵の才能を発揮する子どもたちも出てくるだろう。
「子どもたちの自立を考え、アーティストとして絵が売れるようになればと考えたこともあります。専門の美術教育を受けていない人の芸術をアウトサイダーアートといいますが、今はそこにはこだわっていません。もちろん絵の上手な子の作品がCDジャケットになったり、仕事につながることはありますが、『atelier A』のような場所の存在自体へのニーズが思いのほか多かったこともあり、とにかく来たいとおっしゃる方はすべて受け入れるようにしています」

 普段、3人の子どものママとして過ごしている洋子さんは、「アトリエではもちろん子どもが第一です。けれども保護者の方も同じように大事にしたいと思います。親も一緒に楽しんでほしいので。またその子の兄弟もいろんなストレスを抱えていると思います。我慢を強いられることもあるでしょう。だからこそ、兄弟、家族も一緒に、いつでも来たいときに来られる場所にしたい」と、親であるからこそわかる気持ち、親の気持ちに立った視点を大事にしている。

 「誰でも受け入れてもらえる」、その安心感が人づてに伝わり、毎回およそ50人の子どもとその家族が教室に参加する。東京だけでなく、千葉、埼玉、神奈川からも通ってくる子どもたちもいる。
「障がいを持つ子たちは学校や施設以外の余暇の過ごし方が限られてしまいがちです。この教室では、何ができても何ができなくてもいい、絵が上手にならなくてもいい。来てもいいし、休んでもいいし、また来てもいいというふうにしています。また、以前は毎回課題を出していましたが、みんな期待に応えてくれるんです。でもそれだとみんなおなじような作品になってしまって・・・。それで今では自由に描いてもらって、最後に発表してもらうというやり方をしています」 教室を見学してみると、みんな自由に絵を描いている。文字を書いている子もいれば、歌を歌ってくれた子もいる。発表の時間になると、絵を見せてくれる子や、作品を使って誰かに告白する子など、多様なスタイルの発表があることに驚かされる。

 その発表を影で支えているのが、子どもたちひとりひとりに付いているスタッフだ。スタッフは赤荻夫妻の友人知人で、女優の奥貫薫さん、雑誌副編集長・指出一正さん、カメラマンの平野太呂さんをはじめ、大人が会っても魅力的な方ばかり。
「スタッフとの会話から何を描くか考えていく子もいれば、自分のスタイルを持っている子もいます。スタッフが寄り添うことで絵を描く時間が楽しくなっていくんです。年齢や障がいを超えて、普段の生活では築けないような関係が築けるんです。それが絵にも現れてくるのが面白くて、いいなあと思うところです」

夫婦でやる、家族で参加することで、 さらに、かけがえのないものに

赤荻さん夫婦が教室にいる時間、長女の花ちゃんと長男の星くんも一緒にその場で過ごしている。次男の音くんはまだ小さいので実家に預けているそうだ。ご主人の徹さんも花ちゃんや星くんと同じように子どもの頃、お母さんの勤める養護学校の子どもたちとよく一緒に過ごして遊んでいたという。洋子さんは子どもたちにも同じような環境で、自然に友達になってほしいと願う。
「花は5歳です。だんだん、いろんな物事がわかってきていると思います。そんな中で、年上のお兄ちゃんのことを優しいな、ステキだなと思ったり、一緒にふざけあったり・・・。ちょっと人見知りなんですが、アトリエをとても楽しみにしています。花は障がいがあるとかないとかということよりも、先輩や友達という感じでそれぞれとの関係を築いているようです。星はまだ小さいので、お子さんや親御さん、そしてスタッフのみなさんにも、かわいがってもらっていますね。世代が違う人たちとの関わりが持てることを楽しんでいるようです」

 家族で参加する月1回の絵の教室、月3回のサッカーの練習では、毎回いろんな出来事が起こる。感性の豊かな子どもたちが集うからこそ、いろんなドラマが繰り広げられるという。
「本当にいろんなことが起こりますね(笑)。主人と一緒にやっている、子どもたちも一緒に参加しているから、夫婦や親子の話が尽きないんです。同じ話題で笑ったり、悩んだり、喜んだり...。休日はご主人が子どもたちを見て、奥さんの休日にしてあげるという家庭がありますよね。それもいいと思うのですが、私たちは絵の教室やサッカーの練習があるからこそ、家族みんなで一緒に出かける、一緒にいる機会がたくさんあります。それが私たち家族にとっていいことだと思うし、これからも大事にしていきたいですね」

 2003年に絵の教室として始まった「atelier A」。今は、障がいを持つお子さんのいる家族にとっても、赤荻さん家族にとっても、かけがえのない存在になっている。だからこそ赤荻さんは、「誰でも受け入れること、ずっと続けていくこと」を心に決めている。
インタビュー後の質問

Q:質問

いま一番やってみたいことは?(仕事・子育て以外で)

A:答え

のんびり旅行したいです。海外もいいけど、キャンピングカーでいろいろな所へいったり。

Q:質問

健康や美容で気をつけていることは?

A:答え

食事と睡眠です。あと毎日お化粧はするようにしています。

Q:質問

最近読んだ(観た)中でおすすめの本(映画)は?

A:答え

「トイ・ストーリー3」です。家族と楽しめる時間は貴重ですね。

Q:質問

お気に入りの一品を教えてください。

A:答え

オズヴァルド・チルトナーのlightという作品。3つの光が3人の子供達を象徴している絵で、家のお守りにしています。

Q:質問

気分転換の方法は?

A:答え

やっぱり買い物です。

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