特定非営利活動法人マドレボニータ代表 吉岡マコ さん

ママリブインタビュー:ママ紹介

特定非営利活動法人マドレボニータ代表 吉岡マコ さん
1972年、埼玉県出身。1996年東京大学文学部卒業後、同大学院で運動生理学を学びつつ、ヨガ、東洋医学、ダンスセラピーなどを学ぶ。1998年3月に長男を出産。産後の心身が驚くほど過酷な状態に陥ることを身をもって体験すると、同年7月より産後プログラムの開発・研究に着手。「産後のボディケア&フィットネス教室」を全国各地で展開し、「マドレボニータ」と名付けた普及活動に取り組む。2008年にNPO法人化。『産前・産後のからだ革命』、『母になる女性のための産前のボディケア&エクササイズ』など、著書多数。
特定非営利活動法人マドレボニータ http://madrebonita.com

インタビュー特集

日本初、「産後」に特化したヘルスケアプログラムを考案

ママリブインタビュー 毎週木曜日の午前10時、吉祥寺のダンススタジオには産後数ヶ月の女性たちがぞくぞくとやってくる。7ヵ月未満であれば赤ちゃん同伴で、それ以上であれば子どもを預けて単身で。彼女たちのめあては、吉岡マコさんがレクチャーする「産後のボディケア&フィットネス教室」だ。
 出産経験のある人であれば、程度の差はあるにせよ、産後のつらさがわかるだろう。体は想像以上に消耗し、回復もままならぬまま始まる「待ったなし」の育児生活。健康とはほど遠い体では心も晴れず、赤ちゃんとの生活を楽しむどころではない。そんな女性たちのために、日本ではじめて産後に特化したヘルスケアプログラムを考案したのがマコさんである。
このプログラムでは、産後の心身に必要なこととして3本の柱を提案している。「有酸素運動」、「自己表現とコミュニケーション」、「セルフケアの知識と技術の習得」である。
具体的には、まずバランスボールを使って筋力と持久力を回復させるエクササイズを行う。産後の体に負担をかけることなく、赤ちゃんを抱っこしながらでもできる有酸素運動はシェイプアップにも役立つ。心地よい汗を流し、気分も爽快になったところで、「シェアリング」と呼ばれるコミュニケーションスキルを高めるワークに取りかかる。とかく産後は大人同士で会話をする機会が減るため、視野が狭くなり、考える力が鈍くなりがち。そこで、脳を活性化させるワークを行うことでコミュニケーションスキルを鍛えるのである。有酸素運動のおかげで体がほぐれているせいか、頭も心も柔軟になっており、ワークの効果はアップ。自分自身と深く向き合うことができる。そして最後は、肩こり・腰痛の解消法やウォーキングなど、日常に活かせる具体的なセルフケアを学ぶ。これが1レッスン120分の内容である。毎月第一木曜にスタートして全4回。定員10組の少人数制ゆえ、丁寧な指導でみっちりと内容が濃い。
「10年かけて改良を重ねてきたプログラムですから、自信を持っておすすめできます」とマコさん。確かに、参加する女性たちは誰もが回を追うごとに表情がイキイキ。体はもちろん、心も前向きに元気になると大好評だ。

きっかけは自身の出産 想像以上の産後のつらさに愕然!

マコさんが産後プログラムの研究に取り組んだきっかけは、自身の出産体験にある。「産んだら身軽になる」と思っていたのに、「こんなの聞いてない!」と愕然とすることばかり。妊娠、出産、育児の情報は豊富にあっても、産後の母体をケアする情報はなく、公的なサポートもなし。日本には「産後の健康」という分野が欠けていることを痛感した。そこで、自分自身を健康にしたいという切実な思いから、産後ケアの研究に思い至ったという。  もともと大学院で運動生理学や運動療法を学び、プライベートでも東洋医学やヨガなどに親しんでいただけに、心身への興味は人一倍。自らが"実験台"となり、産後女性たちの声を聞きながら、さまざまな分野の知識をカスタマイズし、産後ケアの基盤をつくり上げていった。
「でも、もしもパートナーと家族の絆がしっかりできていたなら、こんなにも産後のつらさを味わうことはなかっただろうし、産後ケアという分野の開拓にも思い及ばなかったかもしれません」

 実は、マコさんはシングルマザーである。大学院時代、ギリシアで開催されたコンベンションに参加し、そこで出会った現地の人と恋に落ち、妊娠。わずか3ヵ月間の滞在期間中の出来事である。あまりの急展開に両親は猛反対し、妊娠中は勘当同然の状態となった。 「日本に戻って産みましたが、妊娠中から不安定な状態でした。友人たちや妹が気遣ってくれましたが、肝心のパートナーは仕事の都合で日本に来られない。夫婦の絆ができる前に距離が離れてしまうと、気持ちも離れてしまうのです」
 「ギリシアにおいで」というパートナーの言葉も、産後のつらい体と乳飲み子を抱えていては、マコさんの心には響かない。逆に、「なぜ、こんな状態の私たちが行かなくてはならないの?」と不満が湧き上がる。結局、子どもが8ヵ月のときにパートナーとは別離。一人で育てる道を選んだ。

「やりたいこと」と「子育て」のジレンマ 今ががんばり時、と言い聞かせる日々

一人で子どもを育てながら、やりたいことに情熱を注ぐ。それは生半可な気持ちではできない。生活していくために、マコさんは小さな出版社に就職したが、仕事と育児に追われ、やりたいこともできず、半年と経たぬうちに体調を崩してしまった。
「どんなに生活が大変でも、本当にやりたいことをやろう!」
 収入は激減するが会社を辞め、スポーツクラブでアルバイトをする傍ら、「産後のボディケア&フィットネス教室」を主宰。現場の声を聞きながら、産後ケアについて研究を重ねていった。
「あの頃は本当に大変でした。スポーツクラブ以外にも専門学校の講師などのバイトを掛け持ちして...(苦笑)。でも、やりたいことができる充実感はありました。自分が主宰する教室での反応をみると、『産後ケアは求められている!』という手応えがありましたから。だからこそ、もっと勉強したい。でもその一方で、子どもは親である"私"を求めている。ジレンマでした...」
 どうしても受けたいレッスンが夜しか開催されず、実家の母や友人たちに子どもを預けて出席したこともあった。けれど、そういうときに限って子どもはおねしょする。3歳になり、おむつが外れていたにもかかわらず。
「気持ちが不安定になっていたんでしょうね。母からは『ちゃんと子どものことも見てあげないと...』って(苦笑)。当時はよく日記に書きました。『あのときは大変だったけど、がんばったからこそ今がある。いつかそう思えるはず』って」
 そんなつらい時期のマコさんを癒してくれたのは、保育園のおかあさん仲間だ。「彼女たちはまったく利害関係のない存在。そんな人たちとの他愛のないおしゃべりは楽しいし、心がなごみます。今もそう。子どものサッカー仲間のおかあさんたちと楽しく付き合っています(笑)」

日本にも充実した産後ケアを! 個人での活動からNPO法人化へ

ママリブインタビュー マコさんの「産後のボディケア&フィットネス教室」は今や全国各地で展開。インストラクターの養成も行い、一連の活動は「マドレボニータ」と名付けられている。
「これは、スペイン語で『美しい母』の意。キレイなママといった表面的な美ではなく、人としてのディープな美しさを追究したいと思っています」  出産をきっかけに、女性が心や体に向き合い、産後の適切なケアに取り組み、心身ともに健康な状態で子育てをスタートさせることができれば、パートナーや子どもと良好な関係が築けるのではないか?
  さらに、育児ノイローゼや乳幼児の虐待といった悲惨な状態も回避できるのではないか? そう考えるマコさんは、日本の母子保健システムに、妊娠、出産、産後という「周産期の女性の健康をめぐる途切れないサポート」を確立させるための一助として、昨年、マドレボニータをNPO法人化させた。
「これはビジネスではなく、"産後"という新しい分野の開拓です。誰もやらないなら、私がやる。そんな思いで始めた活動でしたが、続けていくうちに、これは国レベルで行うべき取り組みだと実感。社会的な信用を得るためにも、NPO法人というカタチがいちばんふさわしいと判断しました」
 "美しい母がふえれば、世界はもっとよくなる"。これがマドレボニータのスローガンだ。そしてめざすのは、母となったすべての女性が、良質な産後ケアを受けられるような社会―――。最初の一歩を踏み出してから10年、今、マコさんの活動は新たなステージを迎えている。
インタビュー後の質問

Q:質問

いま一番やってみたいことは?(仕事・子育て以外で)

A:答え

ケッコン!したいです。

Q:質問

健康や美容で気をつけていることは?

A:答え

睡眠時間をとること。

Q:質問

最近読んだ(観た)中でおすすめの本(映画)は?

A:答え

『ディア・ドクター』(西川美和監督)
『B級裁判傍聴記』(阿曽山大噴火)

Q:質問

お気に入りの一品を教えてください。

A:答え

炊きたてのご飯(保温のご飯は苦手)

Q:質問

気分転換の方法は?

A:答え

お笑いのDVDやライブを観る。
(好きな芸人:モンスターエンジン、笑い飯、トータルテンボス、エハラマサヒロ)

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